まめ日記*ichigo-ichie

一期一会を大切に、日々出会った人やモノ、 ふと気になったことなどを気ままに綴っています。
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『告白』 読了

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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衝撃だった。
それはドスンと一気に降ってくるというよりはジワジワと心にせまり、息苦しくさせるような重さ。
スピード感を持って読めるけれど、後に残るうっ滞感が、ものすごい。
予約を待っただけのことはある本でした。 

(あらすじ)
ある中学校教諭が3学期の終業式後のホームルームで退職の挨拶を行う。今日を限りに違う学校へ移るのではなく、教職そのものを辞めるという。生徒たちへの御礼とともに述べられた『告白』- それは数ヶ月前に学校で亡くなった彼女の娘は事故死ではなく、ここにいる生徒によって殺されたという衝撃の告白だった・・・・

***この先はネタばれです。これからこの本を読む方にとって目の毒以外の何者でもないので、読まないでください***






(この先は、ネタばれです。本を読まれてから見ることをお勧めします。)

この本は5人が一人称で事件とその後を語り継ぐ「告白」という形で展開していきます。
森口先生の一人娘、愛美ちゃんが冬のプールで死体となって発見される。警察により「事故」として処理されるが、その後あることをキッカケに受け持ちである中学2年生の2人が彼女を殺したのだという真相を知る。普通であればそれを警察に話し、司法の元で裁き、そして少年法に保護される彼らの前では被害者家族としてやりきれない悲しみが残り・・・という展開になっていくかと思うのですが、ここでは森口悠子自身が「人を裁く」又の名を「復讐」という行動に出ていきます。

これが第一章なのですが、ここまで読んだだけで、ゾクッとするような怖さが心に残りました。悠子はとても冷静に、だけれどもその実主観的視点で物事を語っていく。自分がどこまで彼女に共感できるのか、その線引きがとても悩ましく、自分すらある意味狂気の世界(そんな大袈裟ではないが、確かに彼女は常軌を逸したように感じた)を認めてしまうのではないかと不安に感じました。
その後学級委員長からの視点、犯人の視点で当日に至る背景と事件後それぞれがどのような末路を辿るのかが語られていきます。

そして圧巻なのが、最後の「告白」。教職を辞め、娘の父親の最期を看取り、「犯人2人が誰かに裁かれること」を望んでいた森口悠子がこの小説の世界観を締めくくっていきます。
最後の3ページは読みきるのが惜しくて、一行ずつ隠した指をずらすような感じで読み進めました。あぁ、やっぱり最後はそう来たか・・・と。じわじわ押し寄せる黒い小波がついに大きなうねりとなって修哉を、悠子自身を、そして読者をも呑み込んでいく。

圧倒されました。
ちょっと、言葉にならなかった。
少ししてため息をついたときに、自分が息をしていなかったことに気づき、苦笑。
この感覚は久しぶりでした。

最後の行の『復讐』は、誰の、誰に対する復讐なんだろう、ってしばらく考えていました。この章の展開から言えば(266ページのつながりからいえば)修哉の母親に対する復讐、ということなのだろうけれど、私の主観では、もはや狂気の入口に立つ悠子が語っていることを考えると、彼女自身の修哉への最も効果的な『復讐』のことなのではないかなぁ、と思いました。

事件そのものというよりもそれを生み出す、意識下あるいは無意識下の「悪意」の怖さを感じさせる小説でした。
なぜそれが怖いのかといえば、その「悪意」は自分の中にも存在するものだから。
現実社会もこうやって人の気持ちが、解釈次第でどのようにも交差する危うい世界の上に成り立つ、とても脆いものだという認識があるから。

エンターテイメント小説として味わうもよし。人間の善悪の心理について掘り下げて考えるもよし。
2009年本屋大賞受賞、このミス4位、納得です。おすすめです。
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【 2009/09/22 (Tue) 】 和書:小説・エッセイ | TB(-) | CM(10)
豆太さん、
こんにちは!
調べてみたら、昨年の12月に申し込んだのでもう9ヶ月も待っています。今日の時点で133人待ちなのでまだまだ回ってきません。(泣)
豆太さんの記事を見て待ち遠しくなってきました。もちろんネタバレの先は読んでいませんが。
ちなみに、この連休に同じ作者の第二作を読みましたがレビュー対象外でした。
【 2009/09/23 】 [ 編集 ]
はじめまして
豆太さん、はじめまして。k2と申します。昨日町田オフ会でお会いしたブロガーのみなさんが豆太さんのブログを絶賛していたので訪れてみました。

k2の第一声は・・・。「半端ない読書量ですね」

一通りレビューを読ませていただきましたが、『火車』『告白』『奇跡のリンゴ』『博士の愛した数式』浅見帆帆子さんの本、佐藤氏の本などとにかく本屋で平積みされている本はほぼ網羅されていて、とても参考になりました。今度から買おうか迷った本は○マゾンのレビューではなくこちらを参考にさせていただきますね。

本当に勉強になりました。実はこの本もかなり買おうか迷ったんですが、読み切る自信のなさと手に取ったときの殺気で本棚に戻しました。しかし、豆太さんのレビューのおかげであらすじがわかったので助かりました、感謝します。

今後ともよろしくお願いします。
【 2009/09/23 】 [ 編集 ]
OJiMさん、
OJiMさん、こんにちは!
もう9ヶ月待ちでいらっしゃるんですね~。さらに133人となると、もうしばらく先ですね。。。
図書館の予約は忘れたころに届くことが多いので、気長に待つしかないですかね^^
私はたしか申し込んだ時が120-30番目位だったように思います。

> ちなみに、この連休に同じ作者の第二作を読みましたがレビュー対象外でした。

なるほど、そうでしたか~。デビュー作が高評価なだけに、二作目って作家さんとしてもプレッシャーがかかるのでしょうか。 海堂さん(『チーム・バチスタの栄光』)の時も、少しだけそう感じました。

またお勧めの本がありましたら教えてくださいね!
【 2009/09/23 】 [ 編集 ]
k2さん、
K2さん、はじめまして。 ブログ訪問&コメントありがとうございます。
k2さんのブログ、何度か拝見させていただいておりました。

> 豆太さん、はじめまして。k2と申します。昨日町田オフ会でお会いしたブロガーのみなさんが豆太さんのブログを絶賛していたので訪れてみました。

「町田オフ」なるものがあったのですね!いいですね~。
(私も準会員資格アリのはず・・・勝手に言っているだけですが。)
絶賛は・・・酔った上での冗談と思います(汗) お恥ずかしい限りですが、それをきっかけに訪問くださったとのこと、誠にありがとうございます。

> k2の第一声は・・・。「半端ない読書量ですね」

恐れ入ります。でも実はさほど多くないのです。 平積みの本のさらに一部を選んで読んでいる感じです。
平積みからなので、基本的にメジャーどころといいますか、出版社の思うツボな読者だと思います(爆)

『告白』、あの表紙なかなか怖いですよね。壮絶な展開が待っているのでは、とか想像を膨らませてしまいますものね。
k2さんは現在の教室の様子などリアルにご存知だと思うので、なおさらかもしれません。

ストーリーはなかなか良いですよ。2009年本屋大賞に選ばれただけのことはあるなと思いました。
全体にそう厚くなく、読みやすいと思いますので、もし興味をもたれたら読まれることをお勧めいたします。

コメント、ありがとうございました。
また、勝手にリンクを張らせていただいたのですが、よろしいでしょうか。まずければ遠慮なくお知らせください。
今後ともよろしくお願いいたします。
【 2009/09/23 】 [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【 2009/09/23 】 [ 編集 ]
隠しコメントさん、
隠しコメントさん、コメントありがとうございます。
それが、実はちょっと違うんですよ…、って、何のことかわからないですよね(汗)
別途メールさせていただきますね。
よろしくお願いいたします。
【 2009/09/26 】 [ 編集 ]
豆太さん、
こんにちは!

やっと順番が回ってきて読みましたよ。
申し込んでから約1年ですよ。ほんとにもう(笑)
でも、読み始めたら一気読みでした。

ラストに関しては、私は全く違ったサプライズを予想していたので、意外に意外性がなかったです。^^;

そして、豆太さんのネタバレ部分もやっと読めました。こういう本のレビューはブログに書くのが難しいなあと思いますが、本当に上手く書いていらっしゃいますね。
【 2009/12/11 】 [ 編集 ]
おめでとうございます~
OJiMさん、こんにちは!
無事読了おめでとうございました~(^o^)/
一年待っただけの甲斐はありましたでしょうか。

>ラストに関しては、私は全く違ったサプライズを予想していたので、意外に意外性がなかったです。^^;
えぇ~なんですと! どのようなサプライズを思われたのか、そちらのほうが気になります(爆)
今度是非ご披露ください。
私の追記箇所を改めて読み返すとムムム、なにかに取りつかれた人のようですね(笑)
ちっともうまくかけておらずお恥ずかしい限りですが、もしお褒めいただけたのだとすれば、それはこの文章を書かせた「本」の力量だと思います。 読み手に何らかの思いを残し、行動を起こさせるだけの力のある本なのだと思います^^
【 2009/12/11 】 [ 編集 ]
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【 2009/12/12 】 [ 編集 ]
深くうなずきました~
隠しコメントさん、こんにちは!
コメントどうもありがとうございます。
なるほど~、ですね!!そちらもとても気になります!!
…そういう意味では割と正統派的な展開だったのかもしれませんね。

そうそう、機能的な限界があるので、なかなか難しいところです。
(ちょっと何のことかわかりにくいですね 汗)

これからもお勧め本のレビュー、楽しみにしています!
【 2009/12/13 】 [ 編集 ]
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